まず、初めに向かったのは 人間達の住む「街」と呼ばれるところ。 狭い、暗い、路地裏。 そこには、微かな光と 歌声が漏れていました。 「キレイな歌声だなぁ」 その声に釣られ 路地裏を覗くと、そこには 一人の少女が 誰もいない観客席に向かって 唄を歌っているのが見えました。 「こんばんわ。 とても美しい唄を歌うんだね」 妖精は、歌声を 遮るように叫びます。 「あなたは、だれ?」 薄汚れたワンピースに 身を包む少女は 少し不機嫌な 表情を浮かべています 「僕はニルノラフ。 旅の妖精だよ。 君の歌 ここで聴いててもいいかな?」 妖精がそう言うと 少女は恥ずかしそうに 軽く頭を下げ すぐにまた 唄の準備を始めたのでした。